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2012年03月01日

あるエンジニアの決意表明

私事ですが、1月末に12年弱勤めた会社を退職しました。

中堅SIerの、名もなき一社員の退職なので「退職しました」的エントリーを書くのもおこがましいのですが、退職を決断するまでに色々な事を考え、自分なりに期すところがあったので、決意表明としてここに書き残しておきたいと思います。

よろしければお付き合い下さい。

自分がIT(この表現あまり好きではないのですが、情報技術を表す適当な言葉がないのでITと書かせて下さい)を生業にしようと思ったきっかけって何だろう…と昔の記憶を掘り起こしてみたのですが、明確なこれというきっかけを見つけることが出来ませんでした。ただ高校生くらいの頃には、漠然と「小学校の先生かコンピュータに関わることを仕事にしよう」という思いを持っていました。(ちなみに小学生の頃はパイロットか宇宙飛行士になりたかった)

大学進学時に、自分の進む道では高校の先生にしかなれないことを知り(附属高校にいたので進路の幅が狭かった)、ではコンピュータ関係でご飯を食べていこうと決意したことを覚えています。PCをいじくる事もプログラムを書く事も楽しかったので、自分の選んだ道にほとんど迷いはありませんでした。

実際に仕事を始めてみて、ITの持つ可能性にすごく心を動かされました。単にプログラムを作るとかじゃなくて、誰かの事をちょっとだけ幸せに出来る仕組みを、お客様や仲間と一緒に作り上げていける事に、ものすごい喜びを感じました。これは自分にとって天職に違いないと確信するまでに、それほど多くの時間は必要としませんでした。

しかし世の中は不況のまっただ中。バブル末期の大きな案件が継続されていたうちはまだよかったのですが、気が付いたら短納期低コストが至上命題となり、技術者の買い叩きが激しくなり、いつしかお客様とSIerの距離がものすごく遠くなってしまいました。立場を越えて腹を割って話をして、チームでよりよいものを作ろう、最終的にこの仕組みを使う人に喜んでもらおう、という、私にとっては自分の働く意義みたいなものが、全くと言っていいほど失われてしまったと感じてしまいました。

発注側と受注側(お客様とSIer)で牽制し合いながら作り上げたものが、最終利用者にとって嬉しいものになるはずもありません。いつしかその仕組みは「誰かの事をちょっとだけ幸せにする」という魂を抜かれて、お客様にも、作るのに関わった人たちにも、最終利用者にも喜ばれない、残念なものに成り下がってしまうのがすごく嫌でした。

そしてITが普及するに従い、ITありきで仕組みが作られていく事にも大きな違和感を感じました。本来ITは「誰かの事をちょっとだけお手伝いする仕組み(とそれを実現するための道具)」であると思っています。なのでまずは人がいて、その人に対して仕組みが寄り添っていくべきだと思っています。でも最近はまず仕組みが偉そうに立っていて「俺を使えば便利だからみんな俺のところに来るべきだ」と主張しているように見えます。それは本当に、使う人を幸せにしているのか。何となく私は、ちょっと違うよなーと思ってしまうのです。

自分が働く意味である「誰かの事をちょっとだけ幸せにするお手伝いをしたい」を実現するためには、SIerという業種ではもう無理であろうという結論に至り、職を辞する事を決意しました。ただ、自分の思いを実現できる場所って何だろうという疑問に、自分の中で答えが出ていません。ITへの拘りはそれほどないのですが、自分がここまで積み重ねてきたものはITという領域でしか活かせないと思うので、ITが人を幸せにするお手伝いが出来る場所を、今は自分なりに模索中です。そしてその場所を見つけた時に、喜んで仲間に入れてもらえるよう、自分の爪をしっかり研いでおかなければと思っています。

人に寄り添う仕組みを作るエンジニアであり続けたい。
それが私の決意。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。


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posted by 月水和尚 (とも) at 17:57 | その他もろもろ

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